エゾシマリスはアイヌ語で「ルウオプ(道が入っているもの)」「カシイキリクス(その背面に縞が通っているもの)」と呼ばれていました。北海道の中でも地域によって呼び名が異なるそうです。
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エゾシマリスは北海道にだけ生息する!
エゾシマリスはユーラシア大陸北部に分布するシマリス(シベリアシマリス)の亜種です。日本国内では北海道全域で生息しています。大雪山などの高山でも生息しています。国外ではサハリン(樺太)やロシアの極東部にも生息しています。地上で行動することが多いため、2本足で立ち、よく周りを警戒します。木登りも上手にできます。
近年ではペットとして入ってきたチョウセンシマリスやチョウゴクシマリスが逃げ出し、野生化している例があり、交雑が心配されています。シマリスは狩猟鳥獣に指定されていますが、これはペット由来のシマリスを対象としたもので、北海道ではペット由来のシマリスとエゾシマリスを区別することが困難であることからシマリスの捕獲は禁止されています。
英語は?
- 学名:Tamias sibiricus lineatus
- 英名:Chipmunk
- 和名:エゾシマリス(蝦夷縞栗鼠)
エゾシマリスの生態!背中には黒い縞(シマ)模様が5本!
体毛は茶色で背中には黒い縞模様が5本あります。腹部と耳の先は白色をしています。昼行性で日の出後しばらくしてから巣穴から出てきます。日の入前には巣穴へ戻り、夜間には活動しません。食性は植物性であり花の種子などを好んで食べます。季節によっては昆虫やカタツムリなども食べます。また、子育て中は動物質の食べ物を積極的に食べる傾向にあり、小鳥の卵や雛鳥も食べてしまいます。飼育下では9年程生きた個体がいるそうです。(→Wikipedia)
大きさは?
- 頭胴長:12~15cm程
- 体重:70~120g程
- 尾長:11~12cm
- 寿命:野生下では5~6年程
- 背中に5本の黒い縞がある
繁殖期は年に1回!メスは冬眠から目覚めて平均約3日後に交尾日を迎える!
冬眠明けの交尾では確実に妊娠するために複数のオスと交尾することがあります。妊娠期間は約30日で、子育て期間は約60日です。1回に3~7頭の子供を産みます。生後1カ月程度で巣の外に出始めます。少し成長すると母リスが子リスを連れ出し他の巣へ引っ越します。母リスは次第に授乳や食事以外は巣穴に帰らなくなります。巣穴から子リスがいなくなると子育てが終了します。
親子が巣穴から出て移動している姿
頬袋(ほおぶくろ)には沢山の食べ物が!
食物を見つけるとその場で食べずに口の中の頬袋に詰め込むことがあります。安全な場所に運んでから食べたり、貯食(巣穴貯食・分散貯食)のために餌を運ぶときに使います。分散貯食は冬眠明けの食料になるため、冬眠前に頻度が増えます。埋めた場所は忘れてしまったり、別の個体に食べられてしまうことがあるそうです。
ほお袋に餌を詰め込んだ姿
天敵がたくさん!
エゾシマリスの天敵はとても多く、エゾクロテン、エゾオコジョ、キタキツネ、猛禽類などです。小型で素早い動物ですが、捕食者が多い野生環境で生きていくことはとても大変です。捕食者の口に自切した尾の毛・皮だけを残して生き延びることもあります。
イワウメを食べる姿
冬は冬眠をする!
メスの冬眠期間は成獣で平均211日(若い個体で平均194日)ですが、オスは成獣で平均180日(若い個体で平均169日)とメスより短いことがわかっています。冬眠中は体温を3~8度程度まで低下させエネルギー消費を少なくしていますが、10日に1回程度は体温を上昇させ採餌や排泄を行います。雪解けの遅い標高の高い山では春が待ち遠しく感じているかもしれません。
絶景ポイントに立つ姿
その他のエゾシマリス写真
地面を走るだけでなく、木登りも上手です。