前後でピントが合うエゾモモンガ

エゾモモンガはアイヌ語で「アッカムイ」と呼ばれ、子供の守り神として昔より親しみがあります!日本の北海道にだけしか生息していない固有亜種です。可愛い姿のエゾモモンガはどんな所に生息し、何を食べているのでしょうか!?

とっても可愛い動物、エゾモモンガとは!?

北海道に棲むエゾモモンガは、平野部から山間部にかけて広く生息しています。しかも意外と身近な公園・神社・防風林・雑木林などで多くの個体を確認することができます。

タイリクモモンガの亜種で、樹木に出来た穴を巣穴にし、一生のほとんどを樹木の上で過ごす夜行性の動物です。移動は樹木に登って滑空するため、樹木のない場所では生息できません。

生息数は森林伐採や食物の不足などにより減少傾向と言われています。とくに市街地と農耕地をつなぐ防風林は林同士を移動するための通路となっていますが、開拓などで伐採されると行き来が出来なくなり正常な繁殖が行えず、個体数の減少につながっています。

帯広市では帯広・広尾自動車道で寸断されてしまった生息地に専用の道路を作りこういった問題に対応しています。(→エゾモモンガ専用道路

英語は?

  • 学名:Pteromys volans orii
  • 英名:Russian flying squirrel
  • ​和名:エゾモモンガ(蝦夷小鼯鼠)
並ぶエゾモモンガ

エゾモモンガの生態!大きさは?

食性は雑食性で、基本的には植物性のものを食べています。中でもハンノキの雄花の花穂は大好物です!基本的には木の芽・花・葉・樹皮の甘皮・種子や松の実やドングリ、ヤマグワ、イチイ(オンコ)・サクラの実などを食べます。まれに昆虫など動物性の食物も食べることがあるそうです!

大きさは野球ボールサイズで手のひらに収まる大きさで、オスの方が一回り大きいです。警戒心の強い動物なので、近づきすぎには要注意です!(→Wikipedia

大きさは?

  • 体長:15~18cm程
  • 体重:80~120g程
  • 目の大きさ:直径7~9mm程
  • 寿命:野生下では3~5年程
  • オスの方が一回り大きい
食事中のエゾモモンガ

エゾモモンガの見つけ方!

見つけるには冬がおすすめです!きれい好きで排泄を巣穴の外でするため、糞が巣穴の外にたまっていったり、尿で樹皮が汚れています。

冬は複数個体で1つの巣に集まり越冬するため、住んでいる場所の地面や樹皮の汚れがひどく、比較的簡単に見つけることができます。米粒状の糞をしているので大量の糞を見たらしばらくチャーハンが食べられなくなるかもしれません。そして、もし見つけても叩いたり穴を覗いたりせずに、優しく見守りましょう。エゾモモンガは以下のようなことに注意して観察や撮影をしましょう。

・静かに待つ(繊細な生き物のため)
・防寒対策をする!(寒い中、長時間待機するため)
・撮影の場合は三脚が必要(暗い時間での撮影が多いため)

観察のチャンスは日没後の「巣穴から出てくる時」と、朝方の「巣穴に戻ってくる時」です。公園や神社などで人に慣れている個体を除き、非常に繊細な生き物になりますので、静かに待つことが大切です。

糞や尿の痕跡

エゾモモンガの巣穴

皮膜を広げて空を飛ぶ!

エゾモモンガは飛膜を開いて高い場所から低い場所に滑空し移動します。数十メートルもの距離を飛び、50m以上を飛んだ記録もあるほどです!平たい尻尾は滑空中の方向舵として使用し、右に左に自由自在に飛ぶことが出来ます。たまに着地を失敗して地面に落ちることもあるとか・・・。

朝陽に向かって帰ってくる姿

飛ぶエゾモモンガ

自ら地面に降りることもある!

一生のほとんどを樹木の上で過ごすのですが、食事場所の食べこぼしなどを拾いに地面に降りてくることがあります。飛び回って食べ物を取りに行くよりもずっと効率的です!

次の写真はハンノキの雄花の花穂が地面に落ちていたため、自ら地面に降りてきた場面のものです。天敵が多いのでキタキツネなどに襲われないか見ている方がドキドキしました。

ハンノキ雄花の花穂を食べる姿

地面に降りて食事するエゾモモンガ

エゾモモンガの繁殖期は年に2回!

繁殖期は春と夏の2回です。繁殖期を迎えたオスは日中から行動し、メスにちょっかいを出します。メスをめぐりオス同士が争い合い、日中の時間帯からメスの追いかけっこを行うことがあります。メスが交尾を受け入れると何度か交尾を繰り返し行います。妊娠期間は不明で、1回の出産数は2 ~ 5匹で子育てはメスだけで行います。

子育て中は、巣穴の中のノミや寄生虫、子の糞尿による巣の汚染に対応するために何度か引っ越します。子供は生後約40日で巣から出歩くようになり、約50日で滑空の練習を始めます。生後約60日になると母親から独立します。

繁殖期について

  • ​出産:2~6匹程
  • 生後40日程で巣穴から顔を出す
キスするエゾモモンガ

冬は体重が増え、冬毛でふわふわで可愛い!!

可愛い時期は冬です!初夏の姿を見てみると、ふわふわむちむち感がなくなってきているのがわかります。厳しい冬を乗り越えるために沢山食べて体重を増やし、冬毛になることであの可愛らしい姿になっているのです!鳴き声は「ジィージィー」と鳴きます。特に繁殖期に聞くことができますが高音なため、聞く側の人も年齢と共に聞き取りづらくなるそうです。

新緑の中の姿

新緑の中のエゾモモンガ

​その他のエゾモモンガ写真

身近な公園で撮影できるので、夕方に巣穴の前で待っているとひょっこりと顔を出すかもしれません。

月夜のエゾモモンガ
満月の日の姿
エゾモモンガの夫婦
2匹仲良く顔を出している姿
求愛するエゾモモンガ
巣穴にいるメスへ求愛をする姿

​動画でも紹介しています!

エトピリカチャンネルで紹介しています!最後は繁殖期の姿を撮影することができ、メスへの求愛合戦となります。

​エゾモモンガに会える場所

北海道では動物園などにも展示されています。また、ガイド付きで案内してくれる宿もあります。

札幌市円山動物園

場所
 〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘3番地1
電話番号
 ☎011-621-1426
・営業時間(3月~10月)9時30分~16時30分
・営業時間(11月~2月)9時30分~16時00分
・休園日→詳細はホームページ

旭川市旭山動物園

場所
 〒078-8205 旭川市東旭川町倉沼
電話番号
 ☎0166-36-1104
・夏期営業時間(詳細はホームページ
  9時30分~17時15分(16時30分)
・冬期営業時間(詳細はホームページ
  10時30分~15時30分
・休園日→詳細はホームページ

鱒や(川上郡弟子屈町)

場所
 〒088-3332 北海道川上郡弟子屈町札友内19-46
電話番号
 ☎015-482-5489

写真集の紹介

おすすめ写真集の紹介です。

アッカムイちゃん/渡辺浩徳

四季の姿を写していて完成度の高い写真集です。子供の写真もあり、一回り小さな姿でウルウルとした目に癒されます。

森のちいさな天使 エゾモモちゃん/小原玲

アザラシの赤ちゃんやシマエナガちゃんで有名な写真家小原玲さんの写真集です。亡くなる直前にもっとも力を入れていた被写体です。

最近の投稿