エゾクロテンの姿

エゾクロテンはアイヌ語で「カスペキラ(しゃもじを持って逃げる)」と呼ばれています。冬毛はふわふわでとても可愛いのですが、素早くとても獰猛なので触るのはとても危険です。冬は雪の中からひょっこりと顔を出します。

エゾクロテンは日本では北海道にだけ生息!

クロテンの亜種で北海道全域にかけて生息しています。集落に出てきて物を持ちることから「カスペキラ(しゃもじを持って逃げる)」と言われていたそうです。

現在は狩猟が禁止されていますが、昔、毛皮を取るために乱獲され、個体数が減少した過去があります。また、近年は本州より持ち込まれたホンドテンとの交雑種が混生しているため、純粋種の減少が危惧されています。

クリクリの目をして可愛い顔をしていますが、とても獰猛です。指をかじられたらそのままもぎ取られる程の力を持っているため、可愛いからと言って猫を触るような気持ちで安易に手を出すのはやめましょう。

英語は?

  • 学名:Martes zibellina brachyura
  • 英名:Sable
  • ​和名:エゾクロテン(蝦夷黒貂)
エゾクロテンの姿

エゾクロテンの生態!雑食性でなんでも食べる!

​雑食性でネズミ・鳥・エゾリス・カエルなどを食べます。とても獰猛で素早いため、自分より大きなエゾユキウサギも捕食します。動物を捕食した場合は頭部を残す習性があり、これは頭骨の硬度が高いためと考えられています。また、ヤマグワや桜の実などといった植物性のものも食べます。冬眠はせず1年中活動しています。

イタチ科の動物であるため嗅覚が非常に発達しており、食べ物が少ない冬の時期になると、人里に降りてきます。穴や樹洞を巣とするため、屋根裏や縁の下を使用したり、ごみ箱をあさりその近辺に居座ることがあります。

個体差があり黄色や暗褐色をしています。手足は黒色で、尾は濃褐色をしています。クロテンという割には黒色が少なく、茶色やクリーム色に近い色をしていることがポイントです。また、オスは交尾期になると喉から胸にかけてオレンジ色になります。 (→Wikipedia

大きさは?

  • 体長:40-50cm程
  • 体重:1.0-1.3kg程
  • 尾長:10-15cm程
  • ​寿命:野生下では15年程
  • オスの方が体重が重い
走るエゾクロテン

2本足で立ち見まわすことを目蔭(まかげ)という!

警戒心が強く、前足を上げて2本足立ちをし、周囲を見回す行動をします。これを「目蔭(まかげ)」と言います。暖かな車のボンネットに入り込むこともあるので、山奥の宿に泊まった際は猫と同様に、ボンネットを叩いてから出発することを心掛けましょう。

夜間、車に荷物を取りに行った際、目を離している間に車の中に入り込んでしまい、翌日の出発する時に運転席で寝ていたなんて笑い話も聞いたことがあります。

天敵は「猛禽類」で、空から鋭い爪で狙われたら逃げることができません。猛禽類の鳴き声や羽音に敏感です。

目蔭をする姿

エゾクロテンの目蔭

エゾクロテンは木登り上手!素早く登る!

鋭い爪をもつエゾクロテンは、エゾリスを追いかけて捕食するほど木登りが上手です。素早く身軽なエゾリスは逃げ切るのに必死ですが、負けじとエゾクロテンもついていき、木を飛び移ることも簡単にやってのけます。

地上では自分より体が大きなキタキツネに追われることがありますが、対等に喧嘩をするほど気性が荒いです。キタキツネが優位に立つと木に登り逃げます。

木登り上手

木に登るエゾクロテン

繁殖期は夏頃!エゾヒグマと一緒!着床遅延とは?

繁殖期は夏頃ですが、エゾヒグマと同様に交尾を終えてから着床するまで時間を置きます(着床遅延)。夏に妊娠し、秋に子供を産むと子供が冬を乗り越える確率が低くなるため、冬の終わりに着床するようにしているのです。冬の終わりに模擬交尾で発情したメスは着床し、春から子供を産むような仕組みです。

森の中で遭遇

森の中のエゾクロテン

今は準絶滅危惧種になっている!

環境省レッドリストによると、現時点では「準絶滅危惧種」と言い、絶滅危険度は低いが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種とされています。クロテンの毛皮は英名をそのまま「セーブル」と呼ばれ、軽くて暖かく、高級な素材として扱われてきました。昔に乱獲された影響は今も残っているようです。

ひょっこりと顔を出した姿

警戒するエゾクロテン

ペットにできるの?人には馴れるの?

つぶらな瞳で可愛らしく、猫ほどの大きさなので、人に懐くのであれば飼ってみたいと思う人がいるとかもしれませんが、獰猛で鋭い牙と爪を持つので、飼いならすことは難しいです。

また、「鳥獣保護管理法」により捕獲が禁止されています。イタチ科の仲間でペットとして飼えるのは「フェレット」です。ペット用に繁殖された個体がいるため人に馴れます。

雪の中から顔を出す姿

エゾクロテンの正面顔

​その他のエゾクロテン写真

隠れる場所が少ないため、雪の中に通路を作り移動します。

雪の中のエゾクロテン
雪の中から顔を出した姿
振り返るエゾクロテン
振り返る姿
雪が降る日のエゾクロテン
穴から顔を出した姿

​エゾクロテンに会える場所

山奥から宿の近くに顔をだすことがあります。特に冬期は食べ物を探しにやってきます。

ランプの宿 森つべつ(網走群津別町)

場所
 〒092-0222 北海道網走郡津別町上里738番地
電話番号
 ☎0152-76-3333
・早朝には津別峠の雲海を見に行けます。

トムラウシ温泉 東大雪荘(上川郡新得町)

場所
 〒081-0154 
  北海道上川郡新得町屈足トムラウシ
電話番号
 ☎0156-65-3021
・川を見下ろす露天風呂からの景色は最高です。

写真集の紹介

おすすめ写真集の紹介です。エゾクロテンは夜行性のため写真に残すことが難しい動物です。

クロテン/竹田津実

獣医師である竹田津実先生の写真集です。

ぼくはクロテン/富士元寿彦

サロベツ原野で活動する写真家富士元寿彦氏の本です。

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