ラッコの語源はアイヌ語の「ラッコ」に由来します。アイヌの人たちはラッコを食糧や毛皮として捕まえていました。昔は北海道に多くの野生のラッコが生息していたそうで、十勝の広尾町には「楽古川(らっこがわ)」という川があります。
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北海道には野生のラッコが棲んでいる!
ラッコは北太平洋の北アメリカ大陸から、千島列島の沿岸にかけて生息しています。ラッコはチシマラッコ(ロシアラッコ)、アラスカラッコ、カリフォルニアラッコに分けられます。日本では北海道に多くの野生のラッコが生息していましたが、密度が濃く大変貴重な毛皮を採取するために乱獲されて、20世紀には絶滅したと考えられていました。
しかし1980年頃より根室方面で目撃されるようになり、今ではユルリ・モユルリ島や霧多布岬で繁殖が確認されています。
ラッコは英語を見ると分かる通り、海(sea)のカワウソ(otter)と言われ、祖先はカワウソです。海でも生息できるように進化して今の姿になったようです。沿岸部に生息し、主に海岸から1キロメートル以内の場所に生息します。たまに陸に上がることもあるため、岩場があり海藻が茂る場所を好みます。海では海藻につかまって休むそうです。
英語は?
- 学名:Enhydra lutris
- 英名:Sea otter
- 和名:ラッコ(海獺)
ラッコの生態!食性は?漁師さんは困っている?
食性は肉食です。主に貝類、甲殻類、ウニ類を食べます。個体によっては魚類や鳥類を捕まえて食べることもあるそうです。皮下脂肪が少なく、体温維持のために1日に体重の1~3割程の餌を食べる必要があります。
お腹の上で石を使って貝を叩き割る姿が有名で、哺乳類で道具を使う生き物は珍しく、とても知能が高い動物と言われています。ラッコの脇腹にはたるみがあり、そこをポケット代わりにして。食べきれなかった餌や殻を割るときに使用する石などをしまっておく習性があります。
地域によってはラッコがウニを食べつくしてしまう漁業被害があるようですが、逆に昆布を食べるウニがいなくなって、昆布を保護できる効果が期待できるという話もあります。いずれにしても頭数が少ない間は良いかもしれませんが、頭数が増えてくると少なからず何かしらの問題は出てきそうではあります。(→Wikipedia)
大きさは?
- 体長:100-130cm程
- 体重:オス20~45kg・メス15~35kg程
- 尾長:25-40cm程
- 寿命:野生下では15~20年程
- イタチ科の最大種
ラッコの身体は約8億本の体毛で覆われている
地球上の生き物の中で、最も毛深い動物と言われるほど体毛の密度が高く、1平方センチメートルあたり10万本~14万本、身体全体では約8億本の体毛で覆われています。
ラッコは冷たい海に生息しているため、毛の間に空気の層を作り、冷たい水と体が触れないようにして、寒さから身を守っています。つまり、この毛皮が良質であるため乱獲されてしまい、生息数を減らしてしたのです。
体色は良く見ると個体差があり、赤褐色、濃褐色、黒色と様々です。頭部と胸部は体色よりも薄く、灰色や黄白色をしています。子供(幼獣)は全身が黄褐色をしています。
中央左側遠くに泳ぐ姿
普段は1匹だけど、繁殖期になると夫婦で行動する!
ラッコは一年を通じて繁殖します。繁殖期になるとメスがオスのラッコの群れに近づき、オスがそのメスを見つけて、鼻をつついたりしてアピールをします。了承を得られるとカップルが成立し交尾へと移ります。
交尾はオスがメスの背後に周り、体勢を維持するためにメスの鼻をかじり行います!不安定な海上で確実に交尾を行うためとはいえ、とても独特な行動となります。傷が深くなり、感染症を起こしたりエサを食べられなくなったりして命を落とすメスもいるそうです。
オスは子育てに参加することはありません。妊娠期間は6ヶ月半~9ヶ月で、通常は1度の妊娠で1頭の子供を出産しますが、稀に2頭の子供を出産することがあります。
親子の横を別のラッコが泳ぐ
釧路川に迷い込んだラッコも!あだ名はクーちゃん!
2009年の2月頃に釧路市釧路川の河口に現れたラッコです。釧路川にちなんで「クーちゃん」という名前が付けられました。5月8日以降クーちゃんが目撃されることはなくなり、海に帰っていったようです。
当時はクーちゃんを見に多くの人が釧路川に集まり、転落事故が発生したためガードマンが配置されるまでになりました。(→クーちゃん)
昆布とラッコ
ラッコの子育ては大忙し!
授乳期間は6ヶ月ほどで、子供が母ラッコにお尻を向ける体勢になり下腹部にある乳首から母乳を飲みます。母ラッコが海に潜り、エサを探している間は一人でプカプカと海に浮いています。この間に襲われてしまうことがあるそうです。
ある程度大きくなると、食べ物の種類や場所、使用する道具の使い方などを母ラッコから教わるそうです。
赤ちゃんを抱く姿
ラッコは絶滅危惧種に分類されている!
国際自然保護連合(IUCN)によって、2000年からラッコは絶滅危惧種の中でも最も絶滅危険性の高い「近絶滅種(Critically Endangered)」に指定されています。
日本での環境省レッドリストでも、絶滅危惧種に分類され、現時点では「絶滅危惧IA類 (CR):ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」となっています。