ミラーレスカメラのバッテリー問題

ミラーレスカメラのバッテリー問題

ミラーレスカメラが一眼レフカメラに変わりシェアを広げている時代ですが、ミラーレスカメラに移行してからバッテリー持ちが悪いという問題があります。同じバッテリーを使用した場合、一眼レフカメラの半分以下の枚数しか撮影できない機種もあります。

当サイトでは写真だけじゃなく動画の撮影も行うため、バッテリー持ちの問題で大変苦労しました。純正バッテリーを購入すると高額な予算が必要となるため、何か方法はないかと試行錯誤した結果、市販のモバイルバッテリーを使った方法で解決できましたので紹介します。

当サイトで使用している機材はこちらから(→使用機材について

ミラーレスカメラはバッテリー持ちが悪い!

ミラーレスカメラが一眼レフカメラに劣るのはバッテリー持ちです。一眼レフカメラは光学ファインダー(OVF:Optical View Finder)でレンズから入ってきた光をレフで反射してファインダーに写しますが、ミラーレスカメラは電子ファインダー(EVF:Electronic View Finder)でレンズから入ってきた光を撮像素子(センサー)で受光し、ファインダーに送り写します。そのため、バッテリーを多く消費するのです。

ファインダーの比較

一眼レフカメラはバッテリー満タンの状態で1500枚ほど撮影できたのですが、ミラーレスに移行してから同じ条件で800枚前後でしょうか。バッテリーの劣化具合や周りの環境、使用している機能によってはもっと悪くなります。予備バッテリー(canon:LP-E6NH)を購入し、全部で4個のバッテリーを持っていますが、山の撮影では丸2日持ちません。(電源を切らずに待っていると)

より多くのバッテリーを必要とするようになりましたが、純正バッテリーは高額になりお財布に優しくありません。しかも多くのバッテリーを持っていると、全てを充電する手間がかかります。自分の撮影スタイルによると思いますが、ミラーレスカメラを選ぶ際はこういったバッテリー問題を知っておく必要があります。

バッテリーを長持ちさせるために

予備バッテリーがなくなったり、充電ができない場合などに役立つ、バッテリーを長持ちさせるコツを紹介します。

ライブビュー(背面の液晶画面)を使用しない

ライブビュー(背面の液晶画面)を表示したままですとバッテリーの消耗が激しくなります。カメラによっては操作してから一定の時間が経過すると自動OFFになるモードもあるので活用をおすすめします。また「明るさ」調整を控えめに設定しておくとバッテリーの消耗を少なく出来ます。

ライブビューモニター
ライブビューモニター

写真の確認・削除は撮影が終わってから

写真の確認や削除は、液晶画面に表示させて行いますので、バッテリーを消費します。メモリーカードに余裕があれば、後で行いましょう。

写真削除
画像消去

Wi-Fi・GPS・Bluetoothなどの通信はOFFにする

最近の機種は携帯電話と無線通信し遠隔操作できたり、GPSで場所を記録できたりする機能を備えていますが、通信にはバッテリーを消費します。出来るだけ使用を控えることをおすすめします。

データ通信
カメラからの通信

通信の設定は以下のような画面から設定できます。(例:canon EOSR5)

いろいろな通信
通信設定

寒い場所はバッテリー持ちが悪い

低温では化学反応が遅くなることからリチウムイオン電池の内部抵抗が増加し、放電容量が減少するそうです。つまり、本来持っている容量分の働きをしなくなります。寒い場所で使用する場合、直前まで暖かい場所で保管しておきましょう。

冬の北海道
厳冬期の撮影

バッテリーの充電にはモバイルバッテリーが使える!

純正のバッテリー以外でも対応できる方法があります。それが携帯などの充電で使用するモバイルバッテリーです!しかし、使えるものと使えないものがあるので規格を確認してから使用しましょう!互換品のバッテリーは破裂、誤作動、カメラ本体の故障につながるため、安いからと言って使用はおすすめしません

ポイントは「充電」と「給電」どちらを求めるか!?

EOSシリーズでUSBケーブルを用いた充電に対応したのはEOS R(2018年発売)からで、この時は電源OFF時に「充電」する機能がサポートされました。EOSシリーズではその後、EOSR5とEOSR6(2020年発売)で「給電」する機能もサポートされるようになります。充電よりも給電の方が出力(消費電力)を使うので給電しながら撮影を行いたい場合、給電に必要な条件をクリアするモバイルバッテリーを選ぶ必要があります。調べる条件は「V(ボルト):電圧」「A(アンペア):電流」「W(ワット):消費電力」です。関係は以下の通りです。

消費電力

モバイルバッテリーの選び方

EOSR5とEOSR6で給電しながら撮影を行うには9V以上の電圧で3A以上の電流を必要とします。(参考:デジカメWatch)。市販されているモバイルバッテリーの規格でいうと、出力30W以上の機種は全て「9V・3A」をクリアしているそうですので、「9V・3A・30W」以上の規格のものを目安に購入するようにしましょう。(充電だけなら5V3Aで大丈夫みたいです。)

また機種によっては給電時に「15V・3A(45W)」、「20V・3A(60W)」、「20V・3.25A(65W)」の出力(消費電力)を求めてくる場合があります。特に上位機種になればなるほど高出力を求めてきますのでご注意ください。

あとは容量です。容量はmAh(ミリ・アンペア・アワー)で示され、1時間に放電する電流量の単位です。容量は多ければ多い方が良いですが、その分大きく重くなり、価格も高くなります。

USBで給電するにはUSB PD(Power Delivery)対応が必要

また、多くの電力を供給するにはUSB PD(Power Delivery)の規格が必要です。USB Type-CはUSB PD(Power Delivery)に対応しているものと対応していないものに分かれるので、必ず対応しているものを選びましょう。以下は比較表です。

給電方法

「充電ケーブル」も大事!

また「充電ケーブル」も気を付ける点があります。canonは純正ケーブルを推奨していますが、上記で説明したように、条件に適応しているケーブルであれば問題ないと思います(自己判断でご使用ください)。当サイトではUSB type-C充電ケーブルの付け根に負荷がかかり、何度か折れてしまった経験から以下のように片方のコネクタがL字の充電ケーブルを使用しています。

L字コネクタ
L字コネクタ

規格はtype-C L型 PD 60W/3Aに対応したものを選びました。ケーブルの長さは0.5mで十分ですが、伸ばして充電することもあるかと思い1mを購入しました。

「固定器具」も大事!

あとはモバイルバッテリーを固定する場所が問題となります。出来るだけコンパクトに邪魔にならない場所に取り付けることが出来たら一番良いと思います。以下のようなこともできます。拡張用のホットシューがあるので、バッテリーを上部に固定しても、マイク・ストロボ・無線レリーズなどホットシューに取り付けたいものを他にも固定することが可能です。

固定器具
固定器具

それぞれの部品は以下の通りです。

①ホルダー

②コールドシュー(固定ネジ)

③拡張ホットシュー

使用しているモバイルバッテリーはこれ!

最後に使用しているモバイルバッテリーの紹介です。先ほども記載した通りミラーレスカメラに使用するモバイルバッテリーは基本的に出力(消費電力)が大きく、急速充電に対応し最大100Wの高出力を実現できるPower Delivery (USB PD)を使用します。

その他に急速充電に対応したQuick Charge (QC)がありますが、こちらはAndroid専用の規格で、最大約18W3Aまでとなっています。当サイトで使用しているcanon EOSR5で問題なく給電できているモバイルバッテリーは次の通りです。

CIO SMARTCOBY PRO 10000mAh PD 30W 9V 3A

コンパクトで大容量です。価格が安いです。残容量の表記も見やすく使い勝手がいいです。(満充電でcanon「LP-E6NH」約2個分)

Anker 537 Power Bank 24000mAh PD 65W 20V 3.25A

canon EOSR3も給電できるほどのスペックを持つモバイルバッテリーです。(満充電でcanon「LP-E6NH」約4~5個分)

以上。モバイルバッテリーの紹介でした。何回も使用していると劣化してくるものですので、使用状況に応じて買い替えることをおすすめします。